日曜の奇談 サイレン

年をとると夜中に目が覚めたりすることが多くなるが、しっかりと眠れた日の目覚めはありがたい。充実した目覚めは、たいがい6時ちょっと前である。蒲団の中で、夢とうつつの境を、グズグズとしているのが心地よい。 そんな時、ちょうど6時に神社の太鼓の音が遠くに聞こえる。


 またある時には、それと同時に遠くの方に、かすかにサイレンが鳴っているのが、半睡の耳に達する。これがどこで、何のために鳴らすのか気になっている。あるいは自分の耳にだけ聞こえているのだろうかと思うことがある。 以前家の近くの、今は住宅地になっているところに冶金工場があり、1日何回か猛烈に煙を出していた。その工場は炉を絶やさないため24時間体制で作業をしており、その夜勤の終わりを告げるのが、6時のサイレンだといわれていた。今聞くサイレンの音より大きく聞こえた。自分の中では、これと混同している部分もあろう。


 サイレンといえば体験したことはないが、空襲を知らせるものであったという。ダムの放水の前に注意を促すために鳴らすことは、看板で見たことがある。高校野球では試合開始の時など、何回かサイレンが鳴り渡る。 どこかから聞こえてくるサイレンが、不思議だという人はほかにもいるらしく、Yahoo知恵袋にいくつかの質問があった。その中には6時に鳴るというのがあった。正午という例もある。どうも仕事の区切りのようにもみえる。 


昔の人なら、変な物音がするのは、朝になり妖怪が退却して行く音かも知れないと、怪異現象だと受けとめるかも知れない。人は音や光の怪異には敏感であり、どこの地域にもそんな伝承がある。 ここは無駄な詮索をするより、怪異として受け流しておいた方が、目覚めの頭にふさわしいだろう。  


 

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