文芸雑誌寄贈に対するお礼文
まとまりがありませんが、感想です。 舞台が本郷周辺の坂道が中心になっていますが、町歩きが好きな私にとって親しみやすくイメージがしやすい読み物でした。
幾久枝の心情や生きざまがとてもよく描かれており、いつの間にか幾久枝のファンになっていました。人物が大変良く描かれていると思いました。
漱石が出てきたのには驚きました。漱石は虚子とは違ってあまり謡はうまくなかったようですが、春生のところに現われたのですね。意表をつかれました。 ここには当時の事実と早瀬さんのファンタジーの世界が混ざり合って、小説の世界がふくらんでいるようです。 面白い小説でした。
つつみりんさんの麦水異聞は、私がやっている分野であり興味がありました。『三州奇談』の伝承を巧みにとり入れていました。特に白山さんのフクロウの怪の扱い方は効果的だと思いました。 また各話の現代語訳がついていますが、非常にうまい訳だと思います。
奇談を読む基本の基本は訳であり、これがしっかりしているのといないのとでは大違いです。大変に勉強になりました。 私も『三州奇談』を歴史面からみて書いてきましたが、これを別の面で生かすことができないか考えることがあります。
しばらくは冬眠するつもりですが。そのうち何かにとりくむ機会があればと思っています。
この度はわざわざ『櫻坂』をお送りくださいましてありがとうございました。重ねてお礼申します。 寒さ厳しい折柄、ご自愛くださいますようお祈りします。
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