城の復元 本物と偽物
城についての金沢大学公開講座に行ってきた。
午前は城跡の復元など城を考える2時間の講座、午後は3時間半にわたる金沢城址の巡検(エクスカーション)。巡検という言葉、普通に使うんですね。城づくめの1日だった。
講師は滋賀県立大学の中井均氏だったが、講座としては面白く二重丸の内容、なかでも「城の復元は必要か」は考えさせられた。
名古屋城の例である。現在名古屋城では本丸御殿復元が進行中で、現鉄筋コンクリートの天守閣を解体して、木造で復元することを検討中であるという。 金はかかるだろうが木造なら本物だから歴史的にも価値があるので、金の工面がつけば木造にすればよい、私などはそんなふうに漠然と考えていた。 ところが中井氏は、鉄筋コンクリートは偽物というのであれば木造もまた偽物なのである(本物ではない)。それは本物の模型であり、1/1の模型ははたして必要だろうかとする。 いわれてみれば本物・偽物という前に、後世に立てたものはまさしく本物の模型といえる。
さらに鉄筋コンクリートに寄せた先人たちの思いは、安価で簡易だからそうしたのではなく、二度と燃えさせてはならないとの強い思いがあったからであるとする。
ひるがえって金沢城も、五十間長屋や河北門などが木造で復元されつつある。すべて木像の本物志向であり100年後の国宝を目指すというスローガンがあったと思う。また大工の工法を未来に継承するためとの大義を聞いた。
しかし中井氏の話を聞いて、名古屋城などだけでなく金沢城の復元作業をどうみたらよいのか、視点に選択肢が加わり批判的に見る目もできたような感じがする。
一方には住民のシンボルとしてのかけがえのない存在としての天守閣もある。大阪城の復興天守閣は昭和6年に大阪市民に寄付により造営されて86年、国登録の文化財に登録された。 城を考える際には明治維新後の城の歴史もまた重要であることがわかる。
城のことはもう少し書きたい。
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