金沢城とまちづくり
金沢大学が開催した講演と巡検「城と歴史を生かしたまちづくり」は聞きごたえ、歩き応えがあった。滋賀県立大学の中井均氏の話も迫力があった。
金沢は城下町であるがその歴史的な環境を認められ、国から3つの文化的認定を受けており、後世への継承が課題とされている。 その3つとは、まず2009年歴史街づくり法の全国第1号の指定を受けたことだ。 次に2010年には、城下町の伝統と文化が、文化財保護法に基づき、国の文化的景観の一つに選定された。 3つ目に重要伝統的建築物群保存地区(重伝建)に、金沢市内4カ所が順次選定されている。
金沢は幸い非戦災都市であることから、日本の古き良きものが残され、人々がそれを残す努力をしてきた結果、日本の文化都市の一つとして認められるようになったのである。 金沢は誇れる町なのである。郷土への誇り、愛着、自信を持てと中井氏はいう。
これからの町づくりだが、観光客を誘致するだけのものであってはならない。地域に住んでいる住民がいかに快適に暮らせるかが最大の目的である。 きれいごとでそのように言うのではなく、断固としてそうすべきである。観光客を誘致するということは、一部業者が金儲けをして結果景観が損なわれるということだ。 すでに静かだった街並みに飲食店、土産店などが軒を並べ、ついこの間までの情緒が失われてしまったところが出ている。
そうした経緯をみていると行政の力が及ばない面がある。住民自らが、郷土への誇り、愛着を持って立ち向かわなければならない。 城跡を生かしたまちづくり講座に出て、そんなことを思ったことである。
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