美術館の入場者、数字のマジック

 政界では稲田防衛大臣をはじめとして問題発言(行動)が続いている。およそ国民の常識では考えられないような言葉を発し、不適切なら撤回するという繰り返しだ。立場にある人の言葉の重みへの意識があまりないように見える。  


 金沢・北陸でも文化の面で問題発言があった。まずは北國新聞(7/15付朝刊)の見出しに注目。ただならぬように見える。 この13日、独立行政法人国立美術館の柳原理事長が石川県立美術館と金沢21世紀美術館を揶揄するような発言をしたのが発端である。  

 いわく、21世紀美術館の入場者数は、数字のマジック入口と出口ですべて足し算しているというもの。前年度入場者は250万人、今年度も同水準で推移しているが、この数字に対するやっかみともうけとめられる。金沢市は側は事実誤認としている。

  これを目にして、そんなことはあり得ないというのが第一感だが、公益法人国立美術館の理事長がそういうと、それは美術館業界の常識なのだったのかとまで思いをめぐらしてしまう。

  新聞のタイトルは「美術工芸王国反発」とあるが、これはどこのことかわからない向きもあろう。王国とは石川県をさしており、多分自称の部類に入るのかも知れない。

  うがった見方になるが、柳原理事長は富山県黒部市出身と、あえて記事には付いている。富山県は越中時代、加賀藩に支配されてきた。そのため富山県民には石川県に対する対抗(被害)意識が濃厚で、事あるごとに対抗意識を燃やすのだという人があった。学生時代石川・富山出身者が半分ずつ入っている学生寮にいたが、富山は油、石川は水と評した向きがあり、そんな意識は感じた。理事長が富山県黒部だという、出身地も発言の背景にはあるのかも。

  氏はこれに加えて「金沢の石川県立美術館なんて誰も行きません」という不可解な発言もあわせしている。 政治家も考えられないような問題発言をするが、日頃思っていることがふと口をついてでたのか。柳原氏の深層心理にも、石川県に対する潜在意識があったのかと、私には思える。  

 柳原理事長は、これは人から聞いた話であり、軽々な言葉を使ってしまったと陳謝しているが、文化人の振舞いとはとても思えない。 それにしても理事長の発言に王国なるものが反発したことより、美術館の入場者数の発表がどのようになっているのか、その元締めの人の「入場者数足し算発言」が妙に心に残ったことだ。後味の悪い発言だった。  


0コメント

  • 1000 / 1000