金沢のヘソ 香林坊

金沢の中心はどこだろうか。

 金沢城は昔の地図で旧市内の真ん中にある。江戸時代の地図では、白い空白の空間として記されている。 金沢市民としての中心は? 香林坊と答える市民が多いだろう。

地域一番の百貨店や東急スクエア、ホテル、日銀が軒を並べている。以前は道を一本入った裏側は、映画館街があり大神宮や屋台がある聖と俗の空間であった。


 北島三郎「加賀の女」にー 

 君と出逢った香林坊の  酒場に赤い灯がともる ―― 

 

 その香林坊 香林坊の中心はどこか。大通りの三叉路には、写真にあるモニュメントがある。走る人の足だろうか。まさしく香林坊のヘソみたいな一隅である。 結構存在感があるが、土地の人はかえって見逃がしているかも知れない。


 道路を挟んで反対側に、香林坊地蔵がある。香林坊の地名の起源にも関わっており、そこそ香林坊のヘソという人もある。



  この裏を流れる用水が道の下を暗渠となって流れる、道路の反対側に柳が数本植えられている。 そこに句碑がある。 

 明暗を香林坊の柳かな 小松砂丘という俳人がいて(昭和初期か)、俳画をよくし多くの色紙を描いた。我家にも1枚あった。この柳は何代目かにみえる。

 道路の反対側には、以前勧業角丸証券があって、株価の変動を黒板に白墨で書いていたものだ。勧角の名で親しまれ、社員の名刺の住所欄に、「香林坊下 勧角証券」となっていたのを覚えている。 

 よく観察すると、このあたりの裏道には名の知られたおでん屋が二軒あったり、時代を経た寿司屋の建物があったりする。  

 香林坊一帯は昭和の雰囲気があちこちに残っており、夕方の散策としてお奨めのところである。  

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