間もなくお盆
もうすぐお盆。たいがいの人にとって、ご先祖様を供養する唯一の機会です。 先祖がどこにいるかのイメージですが、毎年この時期に思い出すことがあります。
ご先祖様は村の裏山の後ろ側にお住まいになっており、お盆にはそれぞれの実家に帰って来られるのです。これをお迎えするため、村中総出で山のてっぺんから村までの小道の草刈りをして、ご先祖様が迷わず、歩きやすいようにしておくのです。お盆の期間中は家で丁寧におもてなしをして、またお帰りいただくのです。 これは民俗学の本で読んだものですが、何と心を穏やかにしてくれる情景かと思い、お盆はそんな気持ちで過ごしたいと、毎年今ごろになると思いだしています。
ご先祖になるには葬送の儀礼を経なければなりません。漱石の「三四郎」にこんな一節があります。
小供の葬式が来た。羽織を着た男がたった二人着いている。小さい棺は 真白な布で巻いてあ
る。其傍に奇麗な風車を結い付けた。車がしきりに 回る。車の羽が五色に塗ってある。それ
が一色になって回る。白い棺は 奇麗な風車を断間なく遥かして、三四郎の横を通り越した。
三四郎は美 しい葬だと思った。
昔、一度だけこのような葬送を家の前で見送った記憶があります。それが何であって、どこに行くかも知らずにー
通りいっぺんの通過儀礼ではなく、心のこもったものにしたい、できればそのようにしてほしいなと思う年頃になりました。
もうすぐお盆です。
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